リサタビ列車

−絵描きバックパッカー・リサリサの、旅は、まだまだ続く−

Holland.gif
会ってしまった小野伸二


Shinji.jpg


やばい やばいよ
まじ かっこいーよ

3時から練習なのに、あたしたちは1時にはもうデカイプにいた。
一番前から見れるように 場所取りしなければ。

まだ人は誰も来ていなかった。
昨日行ったホットドック屋へ行くと、
マスターはあたしたちのことを覚えていて(2日通ったらあたりまえか)、

「今日は伸二に会えるよ!」

とまたにんまり微笑む。

「ほんと!?ほんとに会える!?トレーニング、見れる!?」

あたしが興奮していると、周りにいたオランダ人たちが笑いながら、

「ああ!会えるさ!3時からトレーニングで伸二も今日は参加するよ!」

とニコニコ笑って、伸二はすばらしいプレイヤーだ、とみんなでワイワイ話していた。


大興奮する心を押さえきれず、早足で練習場へ向かうと、少し人がいた。
練習場入り口の真ん前に陣取って 出待ちをすること約2時間。


フェイエの選手が出てきた!!


口から心臓飛び出そう。


そして ついに 小野伸二の姿が・・・!!!!

と同時に周りにいた子ども達が一斉に、

「シンジ・オノーーーーーー!!!!!」

と、ぶわぁーーーっと駆け寄る。

出遅れてあたしたちも駆け寄り、子ども達が終わるのを待って、
サインをもらい、写真を一緒に撮ってもらう。
そして一言、

「一次予選突破、おめでとうございまーす!」

「あ、ありがとーございます!」

伸二が微笑んで言葉を返す。

あわわわわわわ 笑顔が、マブシイ・・・・

rotterdam3.jpg

練習が始まり、あたしは金網にへばりついて見学。

伸二は飛び跳ねながらストレッチをしている。
コーチに柔道技をかけたりと、すごいやんちゃ振り。

練習風景を見ていると、ほんとにサッカー好きなのがとてもよく伝わる。
とても楽しそうで、見ているこっちも幸せになってしまう。

練習は紅白戦に入り、スタメンチームとサブチームに分かれる。
伸二はスタメンチーム。
紅白戦といえどもかなり激しい。
伸二の「パス!パス!」と言う声が響き渡る。

伸二ゴール!!
あああああ 見るのに必死で写真撮り損ねた・・・

後半サイドチェンジで、ど目の前に伸二が。
ものすごくいい場所に出る、伸二の芸術的パス。 きれいだ。
とても滑らかなそのパスを出すためには、体にかなり負担もかかるんだろう。

小野伸二はケガが多い。

大きな試合の前に、何度もケガに見舞われ悔しい思いをして来たのは本人。
ファンとしては、これ以上伸二がケガで苦しまないよう、祈るばかり。


ルート・グーリット(フリット)監督
rotterdam2.jpg

小野伸二に舞い上がってしまい、あの、オランダの大スター、ルート・グーリット(フリット)にサインをもらうのを忘れてしまったあたし・・・・ああああああ


練習が終わり、伸二が出てくると、またもや子ども達が駆け寄る。
すごい すごい
一番人気だ

そこで少し会話する。

「楽しかったです。ありがとう」

昨日も来たんですけど、と話し掛けると、

「昨日その辺歩いてませんでした?警察署の方。
 僕車乗ってて、昨日日本人3人組、見かけたんですよー。
 ”あれー?日本人だよなー”っとか思って。
 でも、練習終わってませんでした?」

うわぉ。そりゃあたしたちだ。他に日本人3人組はいなかった。

「そーなんですよー。もー終わってて、見れなかった・・・」

料理人が静岡出身だったので、静岡話を少しして、
最後に握手をしてもらう。

ああ もう あなたの記憶にあたしたちがちょっとでも残っていたなら 
それでいいです・・


にやける顔を隠せない3人。

帰りの電車のなかで、

「伸二くんてさー、ちょーフレンドリーだよねー」
「絶対性格いーよねー、伸二くん」
「ファンサービスいいしねー 伸二くん」

と まるで知り合いかのような話振り。
まぁ、こういう時はみんなこうなるでしょ。。。

伸二があー言った、こー言った、どーだこーだと言いながら、
もらったサインと、一緒に撮った写真の画像を見てはニヤニヤ。
あたしはフィルムカメラだったので見れなかったが。
 

たとえこの先 財布が盗まれようが パスポートが盗まれようが

この時もらったサインと、一緒に撮った写真のフィルムは

”死んでも守らねば!!!!!”



こころに誓った。


ShinjiandRisa.jpg






アムステルダムに戻り、
初の夜行列車に乗ってドイツへ
Holland.gif
16.OCT.2004 国立美術館


くもり 19日目


ゴッホ美術館の近くの国立美術館に、あのレンブラントの「夜警」が展示されている。
欧州のほかの美術館にくらべると、そんなに大きくはないが、
デルフト出身のフェルメールの作品も展示されている。


○リサメモ美術館○(アーティスト名をクリックすると絵が見れるよ!)
Rembrandtの夜警
レンブラントの代表作である「夜警」。これはもともと街の自衛組合から発注され、記念写真的に描かれた。しかし、平等にお金を出したにも関わらず、端っこの方に描かれてしまった人、小さく描かれてしまった人もいて、しかも一番目立つところに、レンブラントは亡くなった妻を描いてしまったため、街の人が激怒した。これが原因でレンブラントの肖像画の注文が少なくなった。

Vermeer 1632-1675 オランダ バロック
フェルメールの作品は、現在34枚しか発見されてない。19世紀に初めて発見され、光を巧みに使った構図が多い。同じバロックのレンブラントの劇的なタッチとは逆に、滑らかで、艶のある質感。

フェルメールは日本人にとても人気のある画家だ。


国立美術館の中に、ピンク色のはっぴを着た日本人の団体ツアー客がいた。
オランダで行われたマラソンに参加していたという。

レンブラントの「夜警」の前で、その蛍光色を身に纏った団体客たちが、

「わしゃ よく分からんよ、こういうのは」
「まああ、おっきい絵なのねえ」
「幾らくらいするのかしらねえ?あれくらいの大きさだと」
「今日のマラソンさー・・・」

とペチャクチャぺちゃくちゃ。

ただでさえ、その蛍光色は、絵を見る人の視界に入ってジャマなのに。
そんなことはお構いなしに、隣近所で話し続ける。

彼らにとって、この絵も、観光名所の一つにすぎないんだろうな。
どっちにしても、もう少し、マナーを養った方がいい。


今日は運の悪い日だな、と思いながら国立美術館を出た。

料理人・大学生と待ち合わせをしているアムステルダム中央駅に向かい、
小野伸二に会うため再びロッテルダムへと向かった。




Holland.gif
15.OCT.2004 小野伸二に会いに行こう


くもり 18日目


あれは 間違いなく 一目惚れだった

初めて彼をテレビで見た時

何かが舞い降りて来て あたしの心は迸った

彼が結婚してると知った時

本気でショックを受け 落ち込んだ

そう、あれは間違いなく 恋だった


Feyenoord.jpg


ペンと紙とカメラを用意し、たぶんこの旅の中で一番の化粧で顔をつくり(でも服はボロい)、いざ、ロッテルダムへ。

小野伸二は今、オランダのロッテルダムにホームを持つ、フェイエノールトで活躍中。

せっかくオランダにいるのだから、何としてでも彼を一目みたい。

料理人・大学生・あたしの3人で、アムステルダムから電車で1時間ほどのロッテルダムに向かった。

ロッテルダムは商業都市。
近代的であまりおもしろくない。

ロッテルダムの駅からバスに乗り、スタジアム・デカイプへ。

デカイプの横にある練習場へ行ってみると、、、


誰もいない。


おかしいな、今日は練習日のはずなのに。

そこにいた日本人2人に聞いてみる。


「あ〜、残念だね。今日はもう練習終わったんだよ」


がっくし。。。


「でも伸二は、こないだのオマーン戦から帰って来たばかりで時差ぼけらしく、今日は練習には出てなかったよ。」


そうか、そうだ!
W杯アジア一次予選突破を決めた、あの試合だ!


明日3時からまた練習があるという情報を仕入れ、デカイプのまわりをうろつく。
そして、なにかの雑誌に載っていた、小野伸二も立ち寄るというホットドック屋へ。

小さな露店で、カウンターにはフェイエの選手の写真とサインが飾ってある。
コロッケパンを食べながら、サイン入り特大写真の小野伸二に魅入っていると、

「伸二のファンなのかい?」

と、店のマスターがにんまり微笑んだ。
特別に、と、この店限定のフェイエノールト・ステッカーをくれた。


店を出て、バス停までの長い距離を3人でとぼとぼ歩く。


「明日も来ようよ!!だって、明日は絶対会えるんだよ〜〜〜!!!!」


伸二に会うまでは、オランダを出る事はできない!!!!

2人はあまり乗り気そうじゃなかったが、
たとえ1人でも、あたしは行く!!!


そう心に決めて、ちょっと虚しい心を押さえながらロッテルダムを後にした。



Holland.gif
14.OCT.2004 ゴッホ美術館

はれ のち くもり 17日目


昨日みんなで飲み過ぎて、ちょっと頭が痛い・・・

オランダビールのハイネケン。
なんとここオランダのスーパーでは、6缶パックが3ユーロで売られている。
と、いうことは、1本0.5ユーロ。
と、いうことは、1本70円!!!!!!

すばらしい。実にすばらしい。



オランダ画家で一番有名なのは、たぶんゴッホだろう。

アムステルダムには、大きなゴッホ美術館がある。
オランダ時代やパリ時代、アルル時代など時代別に展示されていて、だんだん変わっていくゴッホの絵が流れに沿ってわかる。

○リサメモ美術館○
Vincent van Gogh 1853-1890 オランダ 後期印象派
ゴッホを知らない人はいないだろう。27歳で画家になり、同期の印象派画家たちに印象派の技術を学ぶ。日本の浮世絵などを模写したり、自画像で色の研究をしていた。パリ時代の絵をみると、いろいろなことを吸収し、それを絵に精力的に反映させ、絵画に対してどん欲に研究を積み重ねていたのがとてもよくわかる。

ゴッホ美術館の中にいる間、あたしの中の何かが崩れ、精神がとても不安定な状態になってしまった。

そして、ついに、美術館の中で泣き出してしまった。

比べてしまったのだ。自分と。

嫉妬、憎み、憧れ、羞恥、飢餓感、焦燥感、劣等感、開放感、高揚感、

ありとあらゆる感情がスクランブル。
気持ち悪くなって来た。


宿に帰っても涙は止まらず、食堂のテーブルにうなだれていたら、日本人のコが話しかけてきた。

「どうしたの?目がイっちゃってるよ?」

彼は同業者で、日本で油絵を描き、今はヨーロッパを1年くらい放浪している。

あたしは今までに感じていたことを彼に話した。

自分が向かっている方向がわからないこと、
ヨーロッパに来てから描いたスケッチが、ただ描いてるだけに感じること、
そして、ゴッホ美術館で感じた事、

すると彼は一言、

「ああ、そりゃ、比べる相手が悪いんだよ。比べる方が間違ってるって。」

たしかに。
世界の巨匠と、なにも持たない自分とを比べる方が無理があるとは思う。
でも、この道を選んだ者として、どうしても、ある思い描いてしまうものが在る。
自分の背丈も考えず、それ以上の夢に、あたしは翻弄されているのか。

「今日君が感じたことは、今の時点では当然のこと。でも、彼らと比べてしまったら、もう、絵を描くことが出来なくなる。」

自分の絵を好きだと言ってくれて、生涯大事にしてくれる人が1人でもいれば、俺はそれでいい、と彼が言った。


気付くと、それまでの混乱は治まっていた。

それでもまだあたしは、何か、見えないものに縛られていた。




Holland.gif
13.OCT.2004 アレナスタジアム


宿に戻り、料理人、大学生、あたしの3人で今日の食材を買いに出かけた。
チャイナフード店に入ろうとしたら、長期旅行者風の日本人のカップルが出て来た。
2人は世界一周航空券を持ち、1年かけて世界一周をするらしい。
そのカップルも同じ宿だったので、5人で夕飯を作って食べる。


昼間、オランダvsフィンランドのチケットが取れなかったらしく、でもやっぱり見たいということになり、夕飯のあとダフ屋を目指して料理人・大学生・あたしでアレナスタジアムへ向かった。

メトロの中は、オランダカラーのオレンジ一色。
サポーターたちが、太鼓を叩きながら、歌いながら、飛び跳ねるので、電車もスウィング。
脱線するんじゃないかと思うくらいに電車は揺れ、中はもうお祭り状態。
サポーター、乗客関係なしに、オランダの応援歌を大声で大合唱。

スタジアムに着くと、ものすごい数のサポーターが大騒ぎしている。
オレンジカラーを身に纏い、顔にペイントしながら開場をまっている。

すごい盛り上がり具合。
これでチケットが取れなかったらかなり虚しい。

あせりながらダフ屋を探す。
来たのが遅かったのか、売り切れたよ、と皆首を振る。

1人のおじさんがこっちを見ている。

「チケット、3枚・・」

ぼそっとおじさんがこちらに向けて声を発した。
即効で飛びつき、値切る時間も惜しく、おじさんの言い値でチケットをゲット。
ダッシュでオランダゲートに並び、でかいオランダ人たちに埋もれながらスタジアムの中へ入った。


holland8.jpg


オランダのホームゲームだったので、スタジアム中がオレンジで染まっている。
まわりはものすごい興奮状態。

前半12分、まずフィンランドが1点先制。

「オオオオォフッッ!!!」

とみんな頭を抱え込む。

「モォォォォォーーーーィ!!!」

そこからオランダが巻き返し、2点入れて前半終了。

ダーヴィッツ!!!
holland9.jpg


結局後半、オランダがもう1点を追加して、結果3−1でオランダの勝利!!

興奮しすぎてケガ人続出。
何人もタンカで運ばれていった。

帰りはもうオランダサポーターに混じって、あたしたちも電車をスウィングさせていた。